
ひとことで「相続」といっても、現金や有価証券で行う場合と不動産ではそれぞれにメリットとデメリットがあります。通常、相続人(相続を受ける人)が複数いらっしゃることが多く、この場合は現金での遺産分割のほうが均等に分けることができるので、モメ事に発展することは多くありません。が、現金はそのままの評価となるので、相続税がほぼ半額発生することになります。
不動産の場合は均等での分割が非常に難しいのですが、現金では約半分かかる税金を大幅に減らすことができ、かつ収益物件などに建て替えることでさらに評価額を下げ、利回りによる収益も得られるので、土地の評価や状況、立地条件などを加味して想定される利回りを得られるかの判断などが必要となってきます。単純に土地や建物だけでなく、所有している証券や生命保険、預金額などを総合的に評価し、相続として総額がいくらになるかを正確に把握し、節税も含め最適な相続方法を選択することが重要となります。
このように、所有している財産が現金(または有価証券)か不動産かにより、対応が変わってきます。不動産で相続すれば必ず節税になるというわけではなく、手元に現金が不足していれば相続税を支払えないケースもあり、所有している不動産を売却して、相続税を支払ってしまったほうが良い場合もあります。


相続が発生した際、または生前贈与を行う段階では、相続する側の全資産を正確に調査し、その評価を把握することが何より重要です。実際、現在どの程度の資産を保有しているかを正確に把握されていない方が非常に多く、計算してみて安心される方もいれば、相続税が非常に高額になることを知り驚かれる方も多くいらっしゃいます。
この評価に必要となるものとしては、預金額、有価証券、不動産、生命保険などが挙げられますので、ご相談いただく際にあらかじめご準備されておくとスムースになります。
実際の相続時に必要となる「遺産分割協議書」も非常に重要ですので、こちらも同時に弁護士などと相談されながら中身を検討されることになります。
ご相談窓口としては、私たちのような不動産業者でも構いませんし、税理士・弁護士へ直接でもOKです。資産に不動産が含まれていたり、購入売却を検討されている場合は、不動産鑑定士も含め、私たちがアドバイスに入るケースも多くあります。

不動産鑑定士の算出する数字は、あくまで一般的な基準から導かれるものですので、私たちのような不動産のプロが介入することで、よりリアルな数字に近づけさせることができます。
相続について漠然と不安があり、何から始めたらいいのか分からないときは、まずは私たちに投げかけてもらえれば、税理士に取り次ぎつつ、どのくらいの相続税がかかるかということを計算します。
たいていの場合、対策を打たないと大変という話になります。
その際に、不動産を買って節税したほうがよい、または不動産を売って現金化して生前贈与で配分したほうがよいなど、資産の状況によってより効果的な選択をアドバイスさせていただくことが可能です。
不動産を購入する場合にも、単に買えばいいというものでもなく、贈与されるご子息の方々が資産を食いつぶしたりしてしまわぬよう、安定して毎月家賃という形で収入を得られるほうが、何千万円という現金を渡されてパッと使ってしまうようなケースを回避できたりもしますので、残された資産によってご家族やご子息が安定した生活を送ることができるということも視野に入れてご提案をしております。

90歳を超えた資産家様が有価証券を2億円ほど所有されていて、このままだと非常に高額な相続税になってしまうとご相談を受けた事例がありました。
年齢が年齢のため金融機関からお金を借りることもできず、お子様方へ非課税で渡していくにも相当な年数がかかってしまうため、不動産を購入していただくことで資産評価を半分近くまで下げ、かなりギリギリのタイミングで節税に成功したという事例でした。
このケースでは現金としては2億円でしたが、収益物件を購入され、家賃収入が年間1500万円前後(利回り8%程度)で、2年で3000万の収入となり、この収益で相続税を払うことも検討されています。このように利回りは6%~8%で設計することがほとんどです。
これは短時間で上手にまとめられたケースですが、できれば時間的に余裕があるタイミングでスタートしておいていただければ、多角的な提案も可能となり、じっくり考えながら進めることができますので、少しでも不安をお持ちでしたらすぐにご連絡いただきたいと思います。
